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香水に欠かせないムスクやアンバーなど動物性香料はいまではほとんど合成です。
1973年に採択されたワシントン条約(野生動物保護条例)により、ムスクを採るジャコウジカの捕獲が禁止されました。
またマッコウクジラから採れるアンバーも、捕鯨の厳しい制限により天然の香料ではまかなえなくなっています。
1921年の発売当時、合成香料のアルデハイドを大量に使った香水だと陰口をたたかれた、「CN5」の先見性を思わずにいられません。
深いのに透明感がある香り。
こんなトレンドを支える秘密は6千種を超える合成香料にあります。
1980年代、「ヘッドスペース法」という画期的な技術革新が起こり、それを契機に香料の合成技術は飛躍的に進歩してきました。
「リビングフラワー=咲いている花の香り」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、このヘッドスペース法により、咲いている花にカプセルをかぶせ、そのまわりに発散しているにおいを採取・分析して再現しました。
この方法を使えば、ごく稀少な植物のにおいや、いままで不可能とされていた金属やゴム、石やガラスのにおいなども再現できます。
そのヘッドスペース法が、いまでは、もっと大規模に応用されはじめました。
気球を使って巨大なカプセルを吊り上げ、人跡未踏の熱帯雨林や高山の上空に漂うにおいや、雄大な景観の中を吹きわたる風のにおいを採取するのです。
これにより、まったく未知の香料の開発も可能になりました。
たとえば、G「RM」のメインとなる香料は、熱帯雨林の上空に漂う原始のにおい「グレイムスク」と呼ばれています。
Sの「ATC」には、アメリカ・ユタ州のアルビオン高原に吹く初夏の風のにおいを再現した香料が使われています。
また、ELの「BP」は、英国の世界最大の植物園「EP」に咲く、貴重な花々の香りを再現してブレンドしたものです。
さらに壮大なプロジェクトもあります。
1998年、打ち上げられた宇宙船D号の船内で、日本人女性宇宙飛行士、Mさんが持参した「オーバーナイトセンセーション」という名のバラを咲かせ、その香りを採取して持ち帰ったのです。
宇宙で咲いたバラのにおいは地上のバラに劣らず、よりいっそうかぐわしかったそうです。
Sの香水「ZEN」に使われているのは、実はこの「スペースローズ=宇宙のバラ」そしていま、このヘッドスペース法がソフト面でもさらに進化を遂げています。
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